日本大百科全書(ニッポニカ) 「金剛山(朝鮮半島)」の意味・わかりやすい解説
金剛山(朝鮮半島)
こんごうさん / クムカンサン
朝鮮半島を日本海沿いに北から南に走る脊梁(せきりょう)山脈である太白(たいはく/テペク)山地の一主峰。世界的に知られている名山で、標高1638メートル。主峰毘盧(ひろ)峰の西方側を内金剛、東側を外金剛、その余脈が日本海に没して隆起した山体を海金剛という。全山が花崗(かこう)岩の節理に富み、怪岩奇峰を呈し、渓谷が美しく、川も至る所で急湍(きゅうたん)、瀑布(ばくふ)をなして壮観である。著名な景勝は内金剛の明鏡台、万瀑洞、摩詞衍(ましえん)などが渓谷美に優れ、外金剛は万物相、九竜淵、三仙岩玉女峰などの奇峰が勇壮美を誇っている。海金剛は柱状節理に富む海万物が海水に映えている。これらの自然景観に加えて、新羅(しらぎ)以来の伝説であやなす古寺が名勝地を背景にたたずむ姿は、周囲の景色と調和していっそう美しい。著名なものは長安寺、表訓寺、神渓寺、楡帖(ゆちょう)寺の四大名刹(めいさつ)であるが朝鮮戦争で損傷を受けた寺もある。金剛山探勝コースは、元山(げんざん/ウォンサン)から外金剛温井里(おんせいり/オンチョンリ)までのバスの便が唯一のものである。金剛山は北朝鮮領内にあるが、1998年から北朝鮮以外の一般観光客を受け入れており、2000年12月まで同地を訪れた韓国人観光客は37万人を超えた。金剛山観光は朝鮮における南北宥和(ゆうわ)政策の象徴となっている。
[魚 塘]