精選版 日本国語大辞典 「金剛山」の意味・読み・例文・類語
こんごう‐せん コンガウ‥【金剛山】
こんごう‐ざん コンガウ‥【金剛山】
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出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
〈こんごうせん〉ともいう。大阪府と奈良県の境を南北にのびる金剛山地の主峰で,標高1125m。金剛山地は北は大和川の横谷を越えて生駒山地に続き,南は和泉(いずみ)山脈にかぎ状に接合する長さ約18kmの山地で,地質は領家花コウ岩,領家片麻岩よりなる。山地の北端の二上山には第三紀中新世に噴出した火山岩がみられるが,火山地形は浸食によって失われ,北部には凝灰岩が波状に露出するドンズルボー(屯鶴峰)の奇観が残っている。金剛山地は生駒山地とは逆に,東側が断層で急斜し,西側が緩斜した地塊山地である。山頂からは大阪平野,奈良盆地の眺望がよく,また紅葉,樹氷が美しい。1966年大阪府の千早赤阪村側からロープウェーが通じた。葛城山とともに金剛生駒国定公園に含まれる。
執筆者:水山 高幸
古くは葛城山と呼ぶ。山神は〈一言主の大神〉(《古事記》)で,地名説話も《日本書紀》神武天皇条に載る。〈楉(しもと)結ふ〉の枕詞のもとで,《万葉集》以来この山を詠じた歌も多い。奈良時代,東麓に役小角(えんのおづぬ)が生まれ,当山で修行して以来,修験道が興隆,当山は葛城修験の中心として吉野の金峰山とならぶ霊山となった。山頂付近には役小角開創と伝える金剛山転法輪寺がある。なお金剛山の名称は,この山号にちなむ。また山頂近くに一言主大神を祭神とする葛木神社がある。河内側山麓は,中世には楠木氏の本拠地で,1331年(元弘1)楠木正成が赤坂城に挙兵,さらに〈金剛山千早と云所にいかめしき城をこしらへ〉(《増鏡》)て鎌倉幕府軍と戦ったことから,当山は一躍著名となった。以後正行,正儀らがひきつづき河内側山麓に本拠をかまえ,南北朝内乱期を通じて,南朝の軍事的拠点となった。なお《太平記》などでは〈河内の金剛山〉とするが,江戸時代中期以来,山頂付近は大和国に属する。現在,金剛山頂,千早城跡,楠木城跡(上赤坂城跡),赤坂城跡が国指定史跡となっているほか,楠木正成生誕地,楠妣庵など楠木氏ゆかりの伝承地も多い。
執筆者:熱田 公
朝鮮半島の脊梁である太白山脈中の名山。名称は仏典《華厳経》中の金剛山に由来するという。山体を構成する花コウ岩には多種多様の節理が発達し,長年の風化浸食により複雑な地形を生じている。平面積40km2の地域に,最高峰の毘盧峰(1638m)はじめ1万2000余峰といわれる峰々が群立し,内金剛,外金剛,海金剛の三つに大きく分かれる。主な奇勝としては,内金剛の明鏡台,外金剛の万物相,海金剛の金剛台がある。山中の温泉は宿泊施設も完備した一大観光地である。古くから仏教の聖地とされ,長安寺,神渓寺等数多くの寺院が山中に建立されている。金剛山見物の出発点となっている日本海沿岸の元山も海水浴を主とする観光地であり,合わせて北朝鮮最大の保養地となっている。山麓の昌道から内金剛まで通じていた登山鉄道は今は使われていないが,自動車により老若男女が容易に接近できる。〈金剛山見物も食後の話〉(花よりだんごの意)ということわざなどで朝鮮民族に広く親しまれている。
執筆者:谷浦 孝雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「クムガン(金剛)山」のページをご覧ください。
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…〈こんごうせん〉ともいう。大阪府と奈良県の境を南北にのびる金剛山地の主峰で,標高1125m。金剛山地は北は大和川の横谷を越えて生駒山地に続き,南は和泉(いずみ)山脈にかぎ状に接合する長さ約18kmの山地で,地質は領家花コウ岩,領家片麻岩よりなる。…
…朝鮮半島の脊梁である太白山脈中の名山。名称は仏典《華厳経》中の金剛山に由来するという。山体を構成する花コウ岩には多種多様の節理が発達し,長年の風化浸食により複雑な地形を生じている。…
…奈良県と大阪府の境をなして南北にのびる金剛山地の一峰。標高960m。…
…標高857m。金剛山地の葛城山と区別して和泉葛城山ともいう。南側は断層崖で紀ノ川の河谷に面し,北側は大阪平野に向かってゆるやかに移行している。…
…御薗の田畠は金剛荘ともいわれ,1272年(文永9)には興福寺領であったことが知られ(春日社記録),1399年(応永6)興福寺造営段米が22町1反小30歩の田地に賦課されている。御薗および金剛砂商人に対する蔵人所一﨟出納中原氏の支配も室町期まで維持され,中原職豊は,1458年(長禄2)片岡内大坂よりの金剛砂および加地子米2石余の沙汰がないと興福寺に申し入れ,1461年(寛正2)には長年一﨟出納の知行下にあった大和金剛山の金剛砂が,洪水で流れ出したのを盗み売りする者がある,と朝廷に訴えている。楠木正成の本拠に近い金剛山に金剛砂商人の集団があったことは注目してよい事実と思われる。…
※「金剛山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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