改訂新版 世界大百科事典 「金属製品製造業」の意味・わかりやすい解説
金属製品製造業 (きんぞくせいひんせいぞうぎょう)
金属製品の範囲は広く,缶,洋食器,機械刃物,作業工具,鉄骨・橋梁,鉄塔,金属製サッシュ,シャッターから金網,ばね,ねじ類,金庫等々多岐にわたる。そのなかで規模が大きいのは,鉄骨・橋梁,金属製サッシュ,食缶等である。古い歴史を有するが,1961年に初めて登場したアルミサッシュのような新顔もある。金属製品は一般に最終製品であるため,その需要は景気や個人消費の動向に左右されやすい。鉄骨・橋梁は製造業の設備投資,サッシュは住宅建設,食缶は所得水準に,という具合である。また金属製品製造業界の特徴としては,少数の大企業が市場シェアの大半を占める一方,残りのわずかを非常に多くの中小企業が分け合っていることがあげられる。その典型例である製缶業では,東洋製缶,大和製缶,北海製缶の3社で約90%のシェアを占め,またアルミサッシュでも,吉田工業(YKK),東洋サッシ,三協アルミニウム工業等の大手のシェアは高い。その一方,たとえばアルミサッシュの場合,簡単な押出機さえあれば生産ができ,しかも付加価値が低いことが,多数の中小企業の存立基盤になっており,また過当競争,低収益体質の原因ともなっている。ただし,安定成長期に入った近年は寡占化が強まりつつある。
執筆者:木村 栄宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報