金庫(金融機関)(読み)きんこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「金庫(金融機関)」の意味・わかりやすい解説

金庫(金融機関)
きんこ

金融機関の呼称の一種。ドイツ語のカッセKasseおよびフランス語のケスcaisseに由来し、特別な範囲または種類の金融を営む金融機関の名称として用いられるようになった。その最初は、1923年(大正12)の産業組合中央金庫農林中央金庫前身)であり、ついで1936年(昭和11)に商工組合中央金庫が設立された。その後、政府出資による公的な金融機関の名称に使われるようになり、第二次世界大戦前および戦中に、恩給金庫庶民金庫、国民更生金庫、戦時金融金庫南方開発金庫、外貨金庫が、戦後に復興金融金庫が設けられた。しかし、最近はこのような公的な金融機関の名称には金融公庫が用いられるようになり、現在、金庫とよばれているのは、政府および中小企業協同組合を株主とする商工組合中央金庫、農業協同組合の系統金融の上部機関としての農林中央金庫、民間の会員(中小企業者)組織による信用金庫、労働組合の出資による労働金庫、の四つである。

 なお、1963年(昭和38)の地方自治法改正前には、都道府県および市町村公金を取り扱う金融機関のことを金庫(指定金庫制度)とよんでいた。

[石野 典]

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