金比羅船々(読み)こんぴらふねふね

日本大百科全書(ニッポニカ) 「金比羅船々」の意味・わかりやすい解説

金比羅船々
こんぴらふねふね

香川県琴平(ことひら)地方を中心に歌われてきた民謡。琴平町にある象頭(ぞうず)山の中腹には金毘羅大権現(こんぴらだいごんげん)(現在は金刀比羅宮(ことひらぐう))が鎮座し、漁師や船頭たちから海上守護の神としてあがめられてきた。江戸時代には物見遊山を兼ねて大ぜいの信者も参詣(さんけい)にきた。この信者たちを運ぶために、大坂港や岡山県の下津井(しもつい)港と、琴平近くの丸亀(まるがめ)港や多度津(たどつ)港とを結ぶ定期船が仕立てられた。これが金比羅船で、これを歌う騒唄(さわぎうた)として多度津や丸亀、それに琴平などの花柳界で参詣客相手に歌われてきた。ただ、土地でつくられたという確証はなく、たぶん大坂港界隈(かいわい)の酒席で歌われていたものか、あるいは道中唄かが、四国に運ばれてきたものであろう。

斎藤 明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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