日本大百科全書(ニッポニカ) 「金融改革プログラム」の意味・わかりやすい解説
金融改革プログラム
きんゆうかいかくぷろぐらむ
バブル経済崩壊後の危機対応型から脱却し、国内金融機関の競争力向上や利用者の保護重視へ金融行政の舵(かじ)をきるために金融庁が示した行政指針。2004年(平成16)末、当時の金融担当大臣伊藤達也(たつや)(1961― )が正式に発表し、2005年度から2年間の行程で改革に取り組んだ。
プログラムは金融システム安定から活力重視へ方針を転換し、異業種の参入などによる民間金融機関の健全な競争による「金融サービス立国への挑戦」を標榜(ひょうぼう)した。持株会社の下に銀行、証券、保険、ノンバンクなどの子会社を置く金融コングロマリット化に対応した法制度や検査・監督体制づくりを目ざした。また、利用者保護のための法整備、地域密着型金融の推進、電子決済・情報関連技術の強化などを盛り込んだ。
金融改革プログラムは2007年3月末で終了し、不良債権問題は一段落し、金融行政は消費者保護など個々の課題に取り組むはずであった。しかし2008年、サブプライムローン問題に端を発した世界金融危機で、日本の金融機関も軒並み赤字に転落し、依然として経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)である実態が露呈した。
[編集部]