サブプライムローン問題(読み)サブプライムローンモンダイ

デジタル大辞泉 「サブプライムローン問題」の意味・読み・例文・類語

サブプライムローン‐もんだい【サブプライムローン問題】

サブプライムローン[補説]

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「サブプライムローン問題」の解説

サブプライムローン問題

2007年ごろに米国信用力の低い借り手を対象にした住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付きが拡大し、ローン債権を組み込んだ証券化商品の価値が急落した問題。こうした商品を保有していた米欧金融機関が巨額損失計上し、08年9月に米証券大手リーマン・ブラザーズ経営破綻したのを機に世界的な金融危機が深刻化した。(ニューヨーク共同)

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

百科事典マイペディア 「サブプライムローン問題」の意味・わかりやすい解説

サブプライムローン問題【サブプライムローンもんだい】

2007年3月,米国の大手住宅ローン会社の経営難をきっかけに世界の株式市場を襲った株安と,それに伴う諸問題。サブプライムローンとは,米国の金融機関が信用力の低い人に向け,自動車や住宅などを担保に年率20〜30%の高金利で融資する住宅ローンのことで,収入証明を必要としないなど審査基準が緩いため,借り手が多く大きな市場となっている。2003年後半以降,米国では住宅価格が上昇していたが,2006年から頭打ちとなり,ローン返済延滞や差し押さえが急増,不良債権化が進み,住宅ローン会社の経営を圧迫することとなった。その結果,各金融機関で信用不安が広がり融資が控えられた。サブプライムローンの総額は日本円で170兆〜180兆円で,そのうち16%にあたる30兆円の返済が滞っていると言われている。また,サブプライムローンは貸付債権として小口証券化され,さまざまな金融商品に組み込まれていた。それらは高い利回りが期待できる金融商品として国際的に販売されていたため,これらに投資していた欧米の金融機関やヘッジファンドの損失が相次ぎ,市場から撤退,世界的な株安をもたらした。深刻な金融不安を受け,米国連邦準備制度理事会や各国中央銀行は,市場への資金供給を増額するなどの対策を実施,2007年8月ブッシュ米大統領は,この問題の被害者救済を表明した。米大手銀行シティグループはこの問題に絡み,235億ドル(約2兆5000億円)の損失を計上,みずほフィナンシャルグループの関連損失は5650億円となった。こうした事態を前に米国の金融機関は外国の政府系ファンドに巨額増資を要請アラブ首長国連邦のアブダビ投資庁やクウェート投資庁,中国投資などから出資を受けるかたちとなった。しかし,こうした金融支援にもかかわらず,サブプライムローンに端を発した米国金融危機はさらに拡大し,2008年米国の大手証券会社・銀行・フィナンシャルグループが相次いで公的資金資本注入を受け入れざるを得ない事態となり,大恐慌以来といわれる世界的な経済危機を招いた。
→関連項目HSBC・ホールディングズ[会社]世界金融危機

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

知恵蔵 「サブプライムローン問題」の解説

サブプライムローン問題

サブプライムローンとは、クレジットカードで延滞を繰り返すなど信用力の低い個人や低所得者層を対象にした高金利の住宅ローン。優遇金利の「プライム」より信用力が落ちるという意味でサブプライムと呼ばれる。米国で住宅ブームを背景に2004年ごろから住宅ローン専門会社などが貸し付けを増やした。融資残高は1兆3000億ドル(推定)で住宅ローン全体の1割を占める。低所得者層でも借りやすいよう、当初の2〜3年間は低い固定金利が適用され、その後は金利が大幅に上がる仕組みが主流。住宅価格が上昇している間は担保価値は高まり、ローンの借り換えなどが可能になるため、貸し倒れなどは少なかったが、住宅価格の上昇が止まり、金利が上昇したことから、返済不能に陥るケースが相次いだ。当初は「サブプライムローンから発生する損失はせいぜい1000億ドル規模」と楽観視されていた。しかし、証券会社が複数のサブプライムローンを担保にした証券(RMBS)を作り、さらにRMBSを裏付けにした債務担保証券(CDO)を生成。世界中の金融機関やヘッジファンドなどに売っていたため、元々の焦げ付きのリスクを誰がどれだけ抱えているかが見えなくなり、投資家は疑心暗鬼に陥った。07年3月に米住宅金融大手の経営危機が表面化。その後、CDOに投資していたヘッジファンドに問題が飛び火した。7月に格付け会社がRMBSの大量格下げに踏み切ると、信用リスク懸念が一気に広がった。8月にはドイツの中堅銀行の巨額損失が明らかになり、仏最大手銀行のBNPパリバ傘下の3つのファンドも解約凍結に追い込まれた。9月にはサブプライムショックの余波で英国の中堅銀行の資金繰りが問題視され、同国としては約140年ぶりの預金の取り付け騒ぎが起きた。米シティグループをはじめ欧米の主要金融機関は巨額のサブプライム関連の損失を計上したが、混乱は収まっていない。

(織田一 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android