酢酸鉛(Ⅱ)三水和物を鉛糖といったので、この名がある。酢酸鉛(Ⅱ)Pb(CH3COO)2溶液に浸して乾燥した試験紙で、酢酸鉛紙ともいう。硫化物イオンS2-やクロム酸イオンCrO42-の検出に用いる。硫化物イオンを含む溶液を酸性にして加熱するか、あるいは加熱により分解して硫化水素を発生する物質、たとえばエチルメルカプタンのようなメルカプト基-SHをもつ物質とかチオアセトアミドのような物質の検出には、水で湿した当該試験紙をかざすか、試験紙に検液の1滴を滴下すると、硫化鉛(Ⅱ)の生成により黒変する。微量の場合は褐色を呈する。クロム酸イオンとは黄色のクロム酸鉛PbCrO4を生成する。
[成澤芳男]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…硫化物イオンの検出に用いられる試験紙。酢酸鉛(II)溶液をしみ込ませて乾燥させたろ(濾)紙片で,鉛糖紙ともいう。水で湿らせてから硫化物イオンを含む試料溶液を滴下すると,硫化鉛が生成されて黒変する(微量の場合は褐変)。…
※「鉛糖紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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