銅ニッケル合金(読み)どうニッケルごうきん(その他表記)copper-nickel alloy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「銅ニッケル合金」の意味・わかりやすい解説

銅ニッケル合金
どうニッケルごうきん
copper-nickel alloy

銅とニッケル Ni はともに面心立方晶で全率固溶体をつくり,全組成にわたって有用な合金である。実用合金はおよそ4種に分けられる。 (1) Ni 10%以下のニッケル青銅。 Ni 約5%にケイ素 Si (1~2%) を加え,Ni2Si の析出による焼戻し硬化合金とする。アメリカの M.G.コルソンの発明 (1927) で,C (コルソン) 合金またはテンパロイという。よい熱処理をすると引張り強さ 90kg/mm2 に達し,電気伝導性は純銅の 40%を保つので耐震動性電線に用いられる。日本では,さらに強力な古河 CA 合金 (アルミニウム約5%加調) ,CAZ 合金 (さらに亜鉛8%添加) が開発されている。 (2) 10~30%の白銅耐食性,耐摩耗性がよいので流通貨幣に用いられる。日本の白銅貨は 25%である。白銅 Ni ( Ni 10~20%) に亜鉛を加えたものは洋銀,洋白,ジャーマンシルバーなどと呼ばれ,古くから食器や装飾品に使われている。 (3) Ni 40~50%のコンスタンタン。電気抵抗が大で温度係数も小さいので,電気計器の標準抵抗線,熱電対に用いられる。 (4) Ni 67%を中心とするモネル系合金 (→モネルメタル ) 。耐食性,強度とも大きいので,復水器,冷却管など液体循環器材に多用されるほか,特殊用途として整磁用がある。

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