電気計器(読み)デンキケイキ(その他表記)electrical meter

デジタル大辞泉 「電気計器」の意味・読み・例文・類語

でんき‐けいき【電気計器】

電圧電流電力などを測定する器具総称

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精選版 日本国語大辞典 「電気計器」の意味・読み・例文・類語

でんき‐けいき【電気計器】

  1. 〘 名詞 〙 電気の諸量を計るための計器電圧計電流計電力計など。

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改訂新版 世界大百科事典 「電気計器」の意味・わかりやすい解説

電気計器 (でんきけいき)
electrical meter

電気的量を測定する機器を電気計測器と呼び,このうち測定対象に接続することにより,複雑な操作を必要とせず,指示,記録などのできるものを電気計器という。原理,用途,表示などにより,指示計器,記録計器,積算計器,ディジタル計器などに分類される。

もっとも簡易で多数使用される計器で,JISに規定され,次のように分類される。(1)測定対象により,電圧計,電流計,電力計,抵抗計,力率計,位相計,周波計などがある。(2)精度により,0.2,0.5,1.0,1.5,2.5級に分類される。級の数値は最大値に対する許容差の限界を%で表したものである。1.0級は許容差1.0%を意味する。0.2級は標準室用の精密なものであるが,現在ほとんど作られていない。(3)動作原理,すなわち駆動力の発生機構によるもので可動コイル形,可動鉄片形などに分類される。この分類と記号,交直流の用途別を表1に示す。

 計器は,駆動,制御,制動,支持部と指針および目盛より構成される。計器の誤差要因としては,零点の狂い,計器の姿勢,自己加熱,周囲温度,外部磁界,外部静電界,周波数などの影響があるが,それぞれ影響が最小となるよう設計され,その限界がJIS,IECなどで規定されている。

もっとも代表的なもので,図1に示すように,磁石の両極の間隙内で,電流の流れるコイルが偶力を受け,回転するもので,ばねの制御トルクと平衡し,静止する。この位置を指針と目盛で指示させる。回転角はコイルの電流に比例し,目盛は平等目盛となる。この原理は検流計にも用いられる。制動装置により,指示がもっとも早く落ち着くように設計されている。原理的には直流のみで1Hz程度まで応答できる。交流使用の場合は適当なトランスデューサー(変換器)を用い直流に変換して指示させる。直流電流計,電圧計は可動コイルを基として作られる。電流計の場合は並列抵抗すなわち分流器を使用,電圧計の場合は直列抵抗すなわち倍率器を使用して,範囲を拡大,多レンジとする。電流計としては内部抵抗が小さく電圧計としては内部抵抗が大きく,いずれも消費電力の少ないことが望ましい。

電流の流れるコイル中におかれた鉄片が磁化され,磁界と磁化の強さの積に比例した吸引力が発生する。これを利用,拡大指示させるもので,吸引,反発,反発吸引形などがある。図2に一例を示す。吸引力はコイルの電流の2乗に比例するため,目盛は2乗目盛となる。原理的には直流でも可能であるが,鉄片のヒステリシスのため交流用,とくに50~60Hzの商用周波数用計器として用いられる。使用周波数は2kHz程度が限界となる。電流計としては分流器または変流器,電圧計としては倍率器または電圧変成器を併用して多レンジとする。

可動コイル形の磁石の代りに一つまたは二つの固定コイルを使用,この中を可動コイルが回転するものである。駆動力は両コイルの電流の積に比例する。電圧計,電流計のほか,電力計に使用される。直流と交流で指示に差を生じないため,直流で校正使用することができる点が便利である。固定コイルに電流,可動コイルに電圧に比例する電流を流せば電力を指示することができ,目盛は平等目盛となる。

図3のような真空熱電対を用い,交流電流による抵抗線の発熱,温度上昇を利用し,熱電対で直流電圧に変換し,可動コイル形計器で指示させるものである。直流から高周波まで広い範囲で使用することができ,実効値指示となる点に特徴がある。

ゲルマニウム,シリコンなどの半導体ダイオードを用いて,交流を整流し,可動コイル形計器で指示させる。正弦波を仮定し,その実効値で目盛るため,波形に歪のある場合には誤差を生ずる。

コンデンサーの両極に電圧を加えた場合極板間に発生する吸引力を利用,拡大指示させるものである。電圧の2乗に比例するので,高電圧になるほど有利である。交直両用,実効値指示で,数kV~数十kVの高電圧測定に利用される。電極の形をくふうすることにより平等目盛に近いものが得られる。

移動磁界または回転磁界とそれによって発生する渦電流の間の相互作用を利用するものである。電力量計の原理となっている。

45~65Hzの商用周波数の測定,すなわち周波計に用いられる。コイルに流れる電流による交番磁界の中に,一端を固定し,固有振動数の異なる鋼片を整列させた場合,固有振動数と交流周波数の一致したところで共振を起こすことを利用する。どの振動片が共振しているかによって周波数を判別することができる。分解能は0.5~1Hz程度である。

二つのコイルを交差して一つの軸に取り付け回転できるようにしたもので,二つのコイルの電流比によってふれるものである。抵抗計,位相計,力率計などに用いられる。代表的なものが絶縁抵抗計のメガーである。

電流,電圧または変換器を用いてこれに変換した測定量の時間的変化または二つの量の関係を記録するものである。各種記録計と使用最大周波数を表2に示す。直動記録計は可動コイル指示計器の先端にペンまたは打点機構を取り付けたものである。自動平衡記録計は電位差計またはブリッジの原理を用い,不平衡電圧を検出,増幅し,サーボモーターで自動的に平衡をとるもので,モーターの動きを記録紙上にペンまたは打点で記録するものである。この機構を2組互いに直角方向に用意し,X,Y2量の関係を記録するものがXY記録計である。ペン書きおよび電磁オシログラフは可動部を軽くして,比較的高い周波数まで記録できるようにしたものである。

ある量を時間的に積分した結果を指示させる計器で,代表的なものが電力の時間積分を求める電力量計である。無効電力量計,電量計なども積算計器の一種である。

ディジタル技術を利用,測定結果を数字表示する計器で,ディジタル電圧計,ディジタルマルチメーターが代表的なものである。操作,読取りが容易で,高精度であり,またコンピューターへの直接入力が可能など多くの特徴があり,省力化,自動化の点ですぐれ,その使用が増加している。
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百科事典マイペディア 「電気計器」の意味・わかりやすい解説

電気計器【でんきけいき】

電圧,電流,電力,抵抗,磁束,インダクタンスなど電磁気に関係する量を測定する計器の総称。指示計器,記録計器,遠隔計器,積算計器,デジタル計器などがあり,また動作原理からは可動コイル形,可動鉄片形,電流力計形,整流器形,熱電形,静電形,誘導形などに分け,直流計器と交流計器の別がある。工業計測においては測定量を電気的に変換して測ることが多く,計器類のうちでも特に広い用途をもつ。
→関連項目電圧計電流計電量計電力計

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