日本大百科全書(ニッポニカ) 「銭三強」の意味・わかりやすい解説
銭三強
せんさんきょう / チエンサンチヤン
(1910―1992)
中国の原子物理学者。浙江(せっこう)省紹興(しょうこう)に生まれ、革命運動の中心北京(ペキン)で青少年時代を過ごした。清華大学で呉有訓に学んだのち、北平研究院物理研究所で研究を続け、1937年、公費留学生としてフランスに留学し、ジョリオ・キュリー夫妻の下で核分裂に関する研究、実験に従事した。この間、ドイツ留学中の何沢慧(かたくえ)(1914―2011)と結婚、1947年二人で原子核の三体分裂の機構に合理的説明を与えた。1949年帰国。解放後は党員科学者として科学院近代物理研究所長、同原子力研究所長、中国科学院副秘書長などを歴任、1964年10月に成功した中国第1回原爆実験を指導した。
[高橋智子]