中国、浙江(せっこう)省北部にある湖州(こしゅう)市の市轄区。苕渓(ちょうけい)の下流に位置し、太湖(たいこ)に臨み江蘇(こうそ)省に隣接する。人口45万9900(2014)。秦(しん)代に烏程(うてい)県が置かれ、三国呉代は呉興郡の治所であった。宋(そう)代に帰安(きあん)県を分置し、明(みん)・清(しん)代は湖州府の治所とされ、1912年帰安県を合併して呉興県と改めた。1979年湖州市を分置し、1981年湖州市に編入。2003年同市の市轄区となった。
杭嘉湖(こうかこ)平原の養蚕地帯の中心で、明代後半より製糸、絹織物の生産が発達し、現在も省最大の絹織物工業地帯である。区東部の織里鎮は木綿の集散地、国内最大級の子供服の生産地として知られる。江南でもっとも早く開発された地方で、土壌が肥沃で米の生産が多く、宋代には「蘇湖(蘇州と湖州)熟すれば天下足る」とまでいわれた。杭嘉湖平原の水郷地帯にあるだけに内陸水運は四通八達している。
[林 和生・編集部 2017年4月18日]
中国,浙江省北部の県。1979年より都市区は湖州市となり,嘉興地区の中心。北は太湖,南は天目山に臨み,東苕渓(ちようけい)と西苕渓の合流する地点にあり,山野水沢の産物に恵まれる。太湖の東が呉越を結ぶ表通りであるのに対し,太湖の南は浙江と安徽南東部を結ぶルートにあたり,また太湖を渡って蘇州へ至ることも容易であるところから,嘉興とは別の立場から呉越を制する要衝であった。秦に烏程県が置かれ,三国呉に呉興郡となり,隋から湖州となったが,帰属は蘇州と杭州の間を変転した。北宋初に帰安県が析出され,1912年両県を合併して呉興県をつくった。名勝には唐に起源をもつ飛英塔,宋の鉄仏寺(鉄観音院)などがある。特産の湖州筆,扇は有名。
執筆者:秋山 元秀
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