鎧・甲(読み)よろい

精選版 日本国語大辞典 「鎧・甲」の意味・読み・例文・類語

よろい よろひ【鎧・甲】

[1] 〘名〙
① 着用して身体を被護する武具。被護部分から頸甲、肩甲、胸甲、膝甲などという。
② 胴から大腿部にかけて被護する武具の総称。短甲、挂甲、綿甲、大鎧、腹巻、胴丸、腹当の類。また、比喩的に用いて、自分の気持などを他のものから防御するものをいう。
※古事記(712)中「是に其兄王、兵士を隠し伏せ、衣の中に鎧(よろひ)を服(き)て、河の辺に到りて」
※昔の街(1974)〈高橋たか子〉「知らぬと言いきってしまう、あの無表情の鎧を」
③ 特に、騎射戦に対応して構成した大鎧(おおよろい)をいう。馬上用として栴檀(せんだん)の板、鳩尾(きゅうび)の板、逆板などを具備した。
讚岐典侍(1108頃)下「玉のかうぶりし、あるは錦のうちかけ、近衛づかさなど、よろひとかやいふ物著たりしこそ、見もならはず」
⑤ =よろいがた(鎧形)②〔随筆・独寝(1724頃)〕
[2] 狂言。各流。主人の命で都に鎧腹巻を買いにのぼった太郎冠者は、詐欺師にだまされて、鎧腹巻のことを記した反古(ほご)葛桶(かずらおけ)を買って帰る。そして、詐欺師に言われたように、反古を額に当てれば兜、脛(すね)に当てれば脛当になるなどと説明し、また、「ざっくりと着ておどす物」と注文された鎧はこの中にあると葛桶のふたをあけると、鬼の面が出てきたので主人にしかられる。和泉流では「鎧腹巻」という。

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