高橋たか子(読み)タカハシタカコ

デジタル大辞泉 「高橋たか子」の意味・読み・例文・類語

たかはし‐たかこ【高橋たか子】

[1932~2013]小説家京都の生まれ。本名和子たかこ。夫は作家高橋和巳かずみ。夫の死後、本格的に小説を書き始める。昭和50年(1975)洗礼を受け、カトリック作家に転じた。「怒りの子」で読売文学賞、「きれいな人」で毎日芸術賞受賞。他に「空の果てまで」「誘惑者」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高橋たか子」の意味・わかりやすい解説

高橋たか子
たかはしたかこ
(1932―2013)

小説家。京都市生まれ。本名和子(たかこ)。京都大学仏文科卒業、同大学院修士課程修了。1954年(昭和29)小説家高橋和巳(かずみ)と結婚。『白描』同人となり、のちに短編集『骨の城』(1972)に収録される幻想的な初期作品群によって注目された。京都から鎌倉に移住し、第一創作集『彼方(かなた)の水音(みずおと)』(1971)所収の短編を発表。1971年夫を失ったが、創作意欲は高まり、短編集『双面(ふたおもて)』(1972)、『共生空間』(1973)、長編『空の果てまで』(1974。田村俊子(としこ)賞受賞)、『没落風景』(1974)、『誘惑者』(1976。泉鏡花(きょうか)賞受賞)、『ロンリー・ウーマン』(1977。女流文学賞受賞)などで女性心理の悪意と魔性をえぐり出した。早くモーリヤックなどの翻訳があり、1975年8月のカトリック受洗後は、『天の湖』(1977)、『荒野』(1980)、『装いせよ、わが魂よ』(1982)、『怒りの子』(1985。読売文学賞受賞)など、神と人間のかかわりを凝視するカトリック作家に転身、1980年パリを拠点として修道生活に入り、10年ののち還俗(げんぞく)し、1990年以降は、『土地の力』(1992)、『亡命者』(1995)、『神の海――マルグリット・マリ伝記』(1998)など、信仰者の内面を描いた。

[橋詰静子]

『『筑摩現代文学大系97 高橋たか子他集』(1978・筑摩書房)』『高橋たか子著『高橋和巳の思い出』(1977・構想社)』『小松左京編『高橋和巳の青春とその時代』(1980・構想社)』『『高橋たか子自選小説集』全4巻(1994・講談社)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「高橋たか子」の解説

高橋たか子 たかはし-たかこ

1932-2013 昭和後期-平成時代の小説家。
昭和7年3月2日生まれ。昭和29年高橋和巳(かずみ)と結婚。46年夫の死後本格的に執筆を開始。人間心理の深層を凝視する作品をかきつぎ,47年「空の果てまで」で田村俊子賞,51年「誘惑者」で泉鏡花文学賞,61年「怒りの子」で読売文学賞など受賞多数。50年カトリックに入信。ついでフランスで観想修道生活をおくり,のち帰国。平成16年「きれいな人」で毎日芸術賞。平成25年7月12日死去。81歳。京都府出身。京大卒。本名は和子(たかこ)。

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