小説家。京都市生まれ。本名和子(たかこ)。京都大学仏文科卒業、同大学院修士課程修了。1954年(昭和29)小説家高橋和巳(かずみ)と結婚。『白描』同人となり、のちに短編集『骨の城』(1972)に収録される幻想的な初期作品群によって注目された。京都から鎌倉に移住し、第一創作集『彼方(かなた)の水音(みずおと)』(1971)所収の短編を発表。1971年夫を失ったが、創作意欲は高まり、短編集『双面(ふたおもて)』(1972)、『共生空間』(1973)、長編『空の果てまで』(1974。田村俊子(としこ)賞受賞)、『没落風景』(1974)、『誘惑者』(1976。泉鏡花(きょうか)賞受賞)、『ロンリー・ウーマン』(1977。女流文学賞受賞)などで女性心理の悪意と魔性をえぐり出した。早くにモーリヤックなどの翻訳があり、1975年8月のカトリック受洗後は、『天の湖』(1977)、『荒野』(1980)、『装いせよ、わが魂よ』(1982)、『怒りの子』(1985。読売文学賞受賞)など、神と人間のかかわりを凝視するカトリック作家に転身、1980年パリを拠点として修道生活に入り、10年ののち還俗(げんぞく)し、1990年以降は、『土地の力』(1992)、『亡命者』(1995)、『神の海――マルグリット・マリ伝記』(1998)など、信仰者の内面を描いた。
[橋詰静子]
『『筑摩現代文学大系97 高橋たか子他集』(1978・筑摩書房)』▽『高橋たか子著『高橋和巳の思い出』(1977・構想社)』▽『小松左京編『高橋和巳の青春とその時代』(1980・構想社)』▽『『高橋たか子自選小説集』全4巻(1994・講談社)』
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