…このころから厭人的傾向が強まり,56年には,気分転換のためヨーロッパ,中近東を旅行する。 《バートルビー》《ベニートー・セレーノ》などの優れた短編を収めた《ピアザ物語》(1856),ミシシッピ川を下る船を舞台に悪魔めいた人物がさまざまな扮装で登場して人間の醜さを暴く問題作《詐欺師》(1857)なども世間に認められなかったので,生活のため66年から20年間ニューヨークの税関に勤務する一方,詩作に転じた。南北戦争に取材した《戦争詩集》(1866),20年前に聖地を訪れた記憶をもとに,信仰の問題を扱う2万行近い長編物語詩《クラレル》(1876),《ジョン・マーとその他の水夫たち》(1888)などを出版したほか,未完の短編《ビリー・バッド》(1924)を残して,世を去った。…
※「詐欺師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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