長登銅山跡(読み)ながのぼりどうざんあと

国指定史跡ガイド 「長登銅山跡」の解説

ながのぼりどうざんあと【長登銅山跡】


山口県美祢市美東町にある銅山跡。長登銅山跡は、国定公園「秋吉台」の南東に位置し、東西1.6km、南北2kmの範囲内に、奈良時代から昭和期にわたる採鉱跡と製錬跡が点在している。このうち、花の山から榧ヶ葉(かやがば)山・二つ間歩の尾根に囲まれた大切谷約35.3万m2が、古代の銅山跡として2003年(平成15)に国の史跡に指定された。長登には、奈良の大仏に銅を献上したので奈良登(ならのぼり)と呼ばれていたが、なまって長登(ながのぼり)になったという地名伝承があったが、1972年(昭和47)に須恵器(すえき)が発見され、奈良時代の鉱山跡であることが判明した。1988年(昭和63)には、東大寺大仏殿の発掘調査で出土した大仏創建時の青銅塊を化学分析したところ、長登銅山のものが使用されていたことが判明した。1989年(平成1)から10年かけての調査で、採鉱跡・製錬跡などの遺構木簡など多くの遺物が発見された。大量に出土した土器や木簡の文字史料から、8~10世紀にわたる長門国直轄の採銅・製銅官衙(かんが)跡であることが明らかになり、わが国最古の銅山跡であることが確認された。発掘調査で検出した遺構は現地に埋め戻し保存されているが、日本最古の坑口や花の山製錬所跡、山神社などが見学できる。長登銅山文化交流館では発掘調査で出土した土器や鉱石、木簡などを展示している。JR山陽新幹線ほか新山口駅から防長バス「長登銅山入口」下車徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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