長者屋敷官衙遺跡(読み)ちょうじゃやしきかんがいせき

国指定史跡ガイド 「長者屋敷官衙遺跡」の解説

ちょうじゃやしきかんがいせき【長者屋敷官衙遺跡】


大分県中津市永添にある官衙跡。英彦(ひこ)山に源をもち、険阻な耶馬渓(やばけい)を経て、中津平野に入っていく山国川右岸に位置する。長者屋敷の地は古くから地面を掘ると炭化した米が出土することで知られていた。1995年(平成7)からの住宅建設にともなう発掘調査で、溝と柵列に囲まれた東西約90m、南北約120mの方形区画の中に、14棟の大型の高床式建物跡が検出された。また、この区画の東・南側からも炭化米が出土していることから、同様の施設が展開し、全体では南北約210m、東西約130m以上に及ぶことが想定される。太い柱が使われた最も大きな建物は、7.2m×11.7mの礎石建物で、奈良時代の建築当初は地面に柱を直接立てる掘立柱建物であったものが、平安時代に柱の下に石を置いた礎石建物に建て替えられていた、8世紀中ごろ~10世紀初めの遺跡であることが判明した。丸い硯の破片や墨で文字を書いた土器の皿などが出土し、官衙のうちでも豊前国下毛(しもげ)郡の米を納めた正倉(倉庫)跡と考えられている。2010年(平成22)、国の史跡に指定された。JR日豊本線中津駅から車で約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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