関節造影(読み)かんせつぞうえい(その他表記)arthrography

翻訳|arthrography

改訂新版 世界大百科事典 「関節造影」の意味・わかりやすい解説

関節造影 (かんせつぞうえい)
arthrography

普通のX線写真では撮影できない関節内を写し出すための技術。主として検査の対象となるのは,関節軟骨半月板軟骨,靱帯滑膜,軟骨性の遊離体,軟部組織腫瘍などである。これらの組織を写し出すためには,X線の透過率の高い空気や窒素ガスなど(陰性造影剤)を関節腔内に注入して両者間にコントラストを生み出す方法と,逆に透過率の低い液体(陽性造影剤)を注入する方法とがある。また陰性と陽性の造影剤を同時に注入して,さらによいコントラストを得る方法(二重造影法)もある。一般には,血管撮影の際に用いられるヨウ素を含んだ水溶性造影剤が陽性造影剤として広く用いられている。注入する造影剤の量は,対象となる関節の種類や目的等によって異なる。たとえばひざなどでは,関節腔の形態やその損傷の有無を調べるためには比較的大量(15~20㏄)の造影剤を注入するのに対し,関節軟骨や半月板,あるいは靱帯(じんたい)などの状態を調べるためには少量(2~4㏄)の造影剤を注入し,それらが目的とする組織の表面に薄く広がって,その形態のシルエットが写し出されるように撮影する。注入した造影剤は,いずれも吸収されるので検査後に回収する必要はない。検査に伴う合併症はまれであるが,造影剤に対する過敏反応や,関節穿刺(せんし)に伴う感染症などがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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