闇の中に横たわりて(読み)やみのなかによこたわりて(その他表記)Lie Down in Darkness

日本大百科全書(ニッポニカ) 「闇の中に横たわりて」の意味・わかりやすい解説

闇の中に横たわりて
やみのなかによこたわりて
Lie Down in Darkness

アメリカの作家スタイロンの処女長編。1951年刊。広島原爆投下直後の1日に場を設定し、22歳で自殺した娘ペイトンの悲劇主軸に、ある南部名家の崩壊を描く。作者の生地ニューポート・ニューズを舞台として、個々の人物の表面上の性格などフォークナーの『響きと怒り』に類似するが、時間の扱い方、表現手法に根本的差異がみられ、よりメロドラマ的である。恐怖と暴力主題フラッシュ・バックを駆使した巧みな心理描写など、その後のスタイロンの作風を決定した作品である。南部の問題も色濃く出ていて、フォークナー、メイラーら同時代作家からも高く評価されている。

金敷 力]

『須山静夫訳『闇の中に横たわりて』(1966・白水社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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