阿波遍路道(読み)あわへんろみち

国指定史跡ガイド 「阿波遍路道」の解説

あわへんろみち【阿波遍路道】


徳島県阿南市大井町・水井町・加茂町、勝浦郡勝浦町生名にある参詣道。指定名称は「阿波遍路鶴林寺道(かくりんじみち) 太龍寺道(たいりゅうじみち) いわや道(みち)」。四国八十八ヵ所霊場をめぐる遍路道は、四国4県にまたがり、空海ゆかりの社寺を巡礼する全長1400kmにも及ぶ道である。四国遍路原型は中世末期にできあがっていたと考えられ、近世に入ると1687年(貞享4)には『四国辺路道指南(みちしるべ)』という案内書が刊行されるなど、遍路が一般にも広がった。明治以降はトンネルや橋の建設などによって遍路道は大きく変化し、現在では一部の山岳寺院への登山道などを除いて、多くが舗装道路になっている。阿波の遍路道は1番札所霊山寺(りょうぜんじ)から23番薬王寺までを結んでいるが、民間に広く普及した信仰を物語る道として貴重とされ、2010年(平成22)に20番鶴林寺と21番太龍寺の周辺約4.5kmが、遍路道で初めて国指定史跡になった。勝浦町生名(いくな)から標高550mの鷲が尾の山頂にある鶴林寺までの3.1kmは、阿波では「遍路ころがし」といわれる厳しい登山道の一つである。これらの道には石畳や寺までの距離を示す町石(丁石)、道標、行き倒れた巡礼者を弔った遍路墓などが残り、宿泊施設である通夜堂(つやどう)跡も発掘された。鶴林寺へは、JR高徳線ほか徳島駅から徳島バス「生名」下車徒歩約45分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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