阿納浦(読み)あのううら

日本歴史地名大系 「阿納浦」の解説

阿納浦
あのううら

[現在地名]小浜市阿納

阿納尻あのじり村の東、阿納坂を越えたところにあり、和田戸崎わざとがさきから入込んだ内湾の奥に位置する漁村。建久六年(一一九五)一二月四日付太政官符(吉川半七氏旧蔵文書)の犬熊野四至示に記す「阿那尾崎」は当地をさすと思われ、文暦二年(一二三五)六月一四日付若狭宮河保山預注進案(秦文書)には「一所 由留木山 阿納浦重延預」として「山手塩御免臨時宮仕許人久津呂尾内」とみえる。

近世は広大な漁業海域をもつ西小川にしおがわ浦と境目争論があり、寛永一三年(一六三六)には次のような西小川浦に利分の裁許があった(阿納区有文書)

<資料は省略されています>

以後阿納地籍のみやうら辺りまで西小川領分になったという。このため当浦は志積しつみ浦より網場の借用をしたり(寛永一五年の「阿納浦惣中志積浦大網場借用申状」安倍家文書)、西小川領分となった宮の浦の漁場や、和田戸崎周辺の磯山永代借用することとし、大網二ヵ所で米六斗、小網場二ヵ所で米一斗三升、毎年正月の祝儀として米一斗五升、計八斗七升を下年貢として西小川浦へ差出していた(元禄六年の「加尾浦等庄屋猟場年貢等ニ付願書控」犬熊区有文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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