除脳動物(読み)じょのうどうぶつ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

除脳動物
じょのうどうぶつ

脳を除去した動物、または脳と、中枢神経系の脳より下位の部分との間を切断した動物をいう。脳の機能、または脳の影響を除いた下位中枢神経系の機能の研究に用いられる。
 脊椎(せきつい)動物では、大脳と間脳の間を切断したものを間脳動物、間脳と中脳の間、中脳と延髄の間を切断したものを、それぞれ中脳動物、延髄動物という。除脳動物といえば通常は中脳動物のことをさす。
 ネコなどの哺乳(ほにゅう)類では、除脳によって四肢と脊柱の伸筋の持続的収縮(除脳固縮)がおこる。これは、中脳にある自己受容反射の高位中枢が、大脳からの抑制(中枢性抑制)から解放される結果であるとされる。除脳によりすべての自発性行動は消失する。しかし、呼吸中枢などの自動中枢は残っているため呼吸運動は停止しない。除脳固縮をおこした状態では、異常な体位を正常に戻す立ち直り反射はみられなくなる。しかし、頭の位置を正しく直す迷路反射などの立ち直りに関係する姿勢反射を含め、ほとんどすべての反射が残っている。
 なお、延髄と脊髄の間を切断した動物を脊髄動物といい、たとえば脊髄ガエルなどとよぶ。脊髄動物では、呼吸運動をはじめ、すべての中枢性の自発性運動は停止するが、高次中枢の抑制より解放されるため脊髄反射は顕著に出現する。[村上 彰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の除脳動物の言及

【固有反射】より

…この反射は筋緊張,直立姿勢の維持等に関与する反射である。除脳動物(脳を切除するか,中枢神経を切断した実験動物)でみられる緊張性頸反射,緊張性迷路反射も固有反射で,それぞれ頸筋の筋紡錘および前庭迷路が刺激されて四肢の筋の張力が変化する姿勢反射である。しかし,固有反射という言葉は,狭義には,反射を引き起こす刺激の受容器が反射運動を行う効果器自体の中にある場合に用いられ,その意味では自己受容反射ともいわれ,筋紡錘が伸展刺激を受けた結果その筋紡錘を含む筋が収縮する反射である伸展反射と同義に使われる。…

※「除脳動物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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