…こうして,プネウマ説にはじまり,肺での空気の出入りを意味していた〈呼吸〉は,現代生物学の用語では,細胞での基質からの水素原子の取出しと,その水素を酸素と化合させる際のエネルギーを用いてのATP生成(酸化的リン酸化)を意味するに至っている。【長野 敬】
【呼吸の生化学】
以上のような歴史的経過から,呼吸は古くは動物の呼吸運動をさす言葉であったものが,動物の外界とのガス交換(これを外呼吸という),さらに体液と細胞のガス交換(これを内呼吸という)をも含める言葉となった。そして,現在,生化学的には呼吸は次のように定義されている。…
…呼吸運動は胸腹部の呼吸筋の協調性活動により維持され,呼吸筋の活動は脳,脊髄の広い領域に分布する多数の運動ニューロンによって支配されている。これらの運動ニューロンを統合的に制御しているのが中枢神経系にある呼吸中枢であり,この制御によって規則正しい吸息運動と呼息運動の交代が起こる。…
※「呼吸運動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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