化学辞典 第2版 「陰イオン交換樹脂」の解説
陰イオン交換樹脂
インイオンコウカンジュシ
anion-exchage resin
アンモニウム塩の構造をもつ固形またはゲル状の合成樹脂.アンモニウム塩の陰イオンは,水溶液中の陰イオンと交換される.合成樹脂はスチレン系,アクリル系などで,強塩基性陰イオン交換樹脂と弱塩基性陰イオン交換樹脂に大別される.強塩基性陰イオン交換樹脂はアンモニウム塩が第四級アンモニウム塩(-N(CH3)3(X))になっており,一般にはXを水酸化物イオンの形にして使用する.溶液中の陰イオンと交換し,OH-を放出する.弱塩基性陰イオン交換樹脂は第三級アミン(-N(CH3)2)の構造になっており,一般に遊離塩基形で使用する.商品名としては,アンバーライト,スミライトなどがある.純水をつくるのに陽イオン交換樹脂とともに用いられるほか,アミノ酸・有機酸の精製,砂糖など食品の脱色,金属錯陰イオンの吸着,また医薬品として腹痛,肝機能障害のための陰イオン交換樹脂製剤として用いられる.膜状のイオン交換樹脂はイオン交換膜とよばれる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報