日本大百科全書(ニッポニカ) 「陳白塵」の意味・わかりやすい解説
陳白塵
ちんはくじん / チェンパイチェン
(1908―1994)
中国の劇作家。本名陳征鴻(ちんせいこう)。江蘇(こうそ)省淮陰(わいいん)県出身。上海(シャンハイ)芸術大学、南国芸術学院で田漢(でんかん)らに学ぶ。1932年白色テロで投獄され、獄中から陳白塵などの筆名で一幕の『街頭夜景(がいとうやけい)』などを発表した。ほかに、抗日戦の経済混乱期にありながら結核撲滅プランを練る臨床医を描いた戯曲『歳寒図(シレン)』(1944)、歴史劇『大風歌(だいふうか)』(1977)、魯迅(ろじん)『阿Q正伝(あきゅーせいでん)』の脚色(1981)などがある。意表をつくストーリーの展開、あふれる生気、辛辣(しんらつ)な風刺を特色とする。南京(ナンキン)大学教授。多くの演劇学修士、博士を育てる。黎波(れいは)訳、泉座により『ドロボーと泥棒』『結婚行進曲』が日本で紹介されている。
[中野淳子]