国指定史跡ガイド 「随心院境内」の解説
ずいしんいんけいだい【随心院境内】
京都府京都市山科区小野御霊町にある寺院。真言宗善通寺(ぜんつうじ)派大本山の寺院で、小野流の開祖として知られる仁海(にんがい)が開基し、本尊は如意輪(にょいりん)観音。随心院のある小野地区は小野氏の根拠地とされ、随心院は小野小町ゆかりの寺としても知られる。平安時代中期の991年(正暦2)に一条天皇から寺地を下賜され、弘法大師から8代目に当たる仁海が牛皮山に曼荼羅寺(まんだらじ)を建立した、真言宗小野流発祥の地である。その後、第5世僧俊阿闇梨(あじゃり)の時に塔頭(たっちゅう)として随心院を建立し、鎌倉時代の1229年(寛喜1)に後堀河天皇から門跡の公文書を受け、小野曼荼羅寺御殿随心院門跡となる。その後、応仁・文明の乱の兵乱で焦土と化したが、1599年(慶長4)に九条家と二条家の両宮家から門跡が入山して再興し、今日にいたる。総門を入ると右手に梅園があり、梅は遅咲きで知られる薄紅色(はねず色)のぽってりとした厚手の花びらで、北野天満宮とは違った趣がある。梅園の向かいが書院と本堂で、庫裏を入ると書院前庭園は苔庭になっている。1966年(昭和41)に国の史跡に指定された。地下鉄東西線小野駅から徒歩約5分。