隣不知(読み)となりしらず

精選版 日本国語大辞典 「隣不知」の意味・読み・例文・類語

となり‐しらず【隣不知】

〘名〙
① (形動) 近くに他の家がないこと。他の家から遠く隔たっているさま。また、その家。
狂歌吾吟我集(1649)三「山里のあひのへきりのふりへだてとなりしらすの秋の夕暮
② (近隣の人も気づかないくらいの音で搗(つ)くというところから) 牡丹餠(ぼたもち)異称
※俳諧・本朝文選(1706)三・賦類・楊揮豆賦〈毛紈〉「卯月の空の牡丹餠。〈略〉、誹諧の人は、隣しらずともよむなり」
③ (近隣の人も気づかないくらい簡略の意から) 簡略な婚礼。〔俚言集覧(1797頃)〕
④ 酒をいう、出羽国(山形県)羽黒山の修験者の隠語
浄瑠璃・酒呑童子枕言葉(1710頃)四「はぐろ山のとなりしらず、くまの山のほいほい酒あまたの名酒はたべ申たが」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報