集団防衛(読み)しゅうだんぼうえい(その他表記)collective defense

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「集団防衛」の意味・わかりやすい解説

集団防衛
しゅうだんぼうえい
collective defense

多数の国家が協同して軍事防衛組織をつくり,みずからの国家集団の安全を保とうとする方策。第2次世界大戦後の冷戦状況,兵器,通信,交通などの急速な発達などに伴い,個別的自衛や単なる複数国の同盟による防衛に不安を感じ,アメリカを中心とする北大西洋条約機構 NATOソ連を中心とするワルシャワ条約機構 WTOがつくられた。それらの機構は各種の機関のほかに統一司令部などをそなえ,兵器の規格化などもはかっている。このような機構の基礎になる条約はいずれも国連憲章第 51条 (自衛権) を援用して,集団的自衛権行使のための条約であるとうたっている。しかし,それらの条約は同憲章第 53条 (地域的取決めに基づく強制行動) には触れず,それを無視する態度をとっているため,国連の普遍的集団安全保障体制を実質的には弱める結果になっている。

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世界大百科事典(旧版)内の集団防衛の言及

【安全保障】より

…地球的規模での発展による安全保障のレベルの実質的成長は,新しい発展に向かっての地球的規模での離陸条件の整備によってのみ切り開かれることになる。 このような安全保障の枠組みの中で集団安全保障を見直すならば,国連憲章に形式的に規定されているが,集団防衛の名のもとでの先進国間共同による軍事力の行使とか軍事力による威嚇などのように限りない軍拡競争にもとづく軍事同盟体制も,軍縮を通した真の国連平和維持軍提供の制度へと転換させる道が開けよう。総合安全保障も,その一部になお大国による核抑止政策が残っている限り,このような安全保障環境の発展という見地に照らせば,なお中間的段階にとどまる。…

※「集団防衛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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