雨垂(読み)あまだり

精選版 日本国語大辞典 「雨垂」の意味・読み・例文・類語

あま‐だり【雨垂】

〘名〙
※水鏡(12C後)上「ふたりあひぐして、こほりのつかさのいへにおはして、あまだりのもとにゐ給へりしかば」
② あまだれの落ちる所。あまおち。あまうち。あまだれおち。
※宇治拾遺(1221頃)一「あたらしき不動尊、しばし雨だりにおはしませといひて、かきいだきて、雨だりについ据ゆと思ひしに」
③ あまだれによってつくられた溝のこと。
大乗院寺社雑事記‐寛正六年(1465)一〇月二日「公方四足のあまたりより内にて輿下乗事不然、あまたりより外にて可乗下云々」
[語誌]平安時代は「あましただり」または「あましだり」であったが、「水鏡」「宇治拾遺」などに見られるとおり、鎌倉時代になると「あまだり」がそれに取って代わる。しかしその後、四段に活用していた自動詞「たる(垂)」が、室町時代中期以後下二段化し、一般化するのに伴って、さらに「あまだれ」に変化した。

あま‐だれ【雨垂】

〘名〙 (「あまたれ」とも)
軒先や木の枝などから、雨のしずくがしたたり落ちること。また、そのしずく。あましずく。あましだり。あまだり。
太平記(14C後)七「作り双(なら)べたる役所の軒に継樋(つぎどひ)を懸けて、雨ふれば、霤(アマダレ)を少しも余さず、舟にうけ入れ」
日葡辞書(1603‐04)「Amadare(アマダレ)、または、amatare(アマタレ)〈訳〉軒から落ちるしたたり」
感嘆符の俗称。〔最新百科社会語辞典(1932)〕
[語誌]→「あまだり(雨垂)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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