精選版 日本国語大辞典 「雨垂」の意味・読み・例文・類語
あま‐だり【雨垂】
- 〘 名詞 〙
- ① =あまだれ(雨垂)①
- [初出の実例]「ふたりあひぐして、こほりのつかさのいへにおはして、あまだりのもとにゐ給へりしかば」(出典:水鏡(12C後)上)
- ② あまだれの落ちる所。あまおち。あまうち。あまだれおち。
- [初出の実例]「あたらしき不動尊、しばし雨だりにおはしませといひて、かきいだきて、雨だりについ据ゆと思ひしに」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一)
- ③ あまだれによってつくられた溝のこと。
雨垂の語誌
平安時代は「あましただり」または「あましだり」であったが、「水鏡」「宇治拾遺」などに見られるとおり、鎌倉時代になると「あまだり」がそれに取って代わる。しかしその後、四段に活用していた自動詞「たる(垂)」が、室町時代中期以後下二段化し、一般化するのに伴って、さらに「あまだれ」に変化した。
あま‐だれ【雨垂】
- 〘 名詞 〙 ( 「あまたれ」とも )
- ① 軒先や木の枝などから、雨のしずくがしたたり落ちること。また、そのしずく。あましずく。あましだり。あまだり。
- ② =あまだれちょうし(雨垂調子)
- ③ 感嘆符の俗称。〔最新百科社会語辞典(1932)〕