改訂新版 世界大百科事典 「電力債」の意味・わかりやすい解説
電力債 (でんりょくさい)
電力債は,北海道,東北,東京,中部,北陸,関西,中国,四国,九州の9電力会社が設備投資に必要な資金を調達するために発行する債券である。電力債は,社債発行総額を調整する際に,他の事業債(一般事業債)と別建てで行われており,一般事業債よりも優先して起債されるように努力が払われてきた。また,発行限度額も一般事業債の2倍となっているため,事業債(一般事業債と電力債とからなる)に占める電力債の割合は非常に高いものとなっている。電力債には,電力債の発行根拠である電気事業法40条の規定により一般担保(ゼネラル・モーゲージ)が付けられている。電力債は事業債の格付けのなかで最高のAA格債の適用を受けており,知名度も高いことから個人投資家に人気がある。事業債の消化状況をみると,一般事業債は金融機関を中心に消化されているのに対し,電力債は6割強が個人に消化されている。現在,6年,10年,12年ものの3種類がある(主流は12年もの)。
→債券
執筆者:根本 有一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報