電子チューナー(読み)でんしちゅーなー(その他表記)varactor-controlled frequency tuner

日本大百科全書(ニッポニカ) 「電子チューナー」の意味・わかりやすい解説

電子チューナー
でんしちゅーなー
varactor-controlled frequency tuner

受信機などの選局装置の一種可変容量ダイオード(商品名バリキャップ)を同調コイルと高周波的に並列に接続し、容量を直流電圧で制御して希望する周波数に共振させ、同調をとるようにしたもの。従来、共振周波数を変化させて特定の周波数に同調をとるためには、バリコンなどの可変コンデンサーの電極板を機械的に回転して容量を変えるか、コイルの中に置かれた磁性体などのコアを出し入れしてインダクタンス(誘導係数)を変える方法がとられていた。この方法は、振動によって同調周波数が変化すること、および機械的に複雑であり、部品も比較的大型である欠点があった。可変容量ダイオードは直径1~2ミリメートル、長さ数ミリメートルのダイオードであり、逆方向に加える直流電圧に対応する容量となるから、非常に小さく安定な同調回路が構成できる。小型のラジオ、テレビジョンにはほとんどこのチューナーが使われており、通信機のチューナーにも用いられた結果、1970年ごろにはバリコンは消費量が減って、ほとんど製造されなくなった。しかし、バリキャップは逆耐電圧が数十ボルト以下であるので、送信機などの高電圧部での使用は不可能である。

石島 巖]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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