改訂新版 世界大百科事典 「電子比熱」の意味・わかりやすい解説 電子比熱 (でんしひねつ)specific heat of electron 金属の極低温における比熱は実測によればT3に比例する部分とTに比例する部分の和になる(Tは絶対温度)。前者は格子振動による比熱であり,後者は金属に特有な伝導電子に由来するもので,これを電子比熱と呼ぶ。フェルミ縮退した伝導電子のうち,熱的に励起されるのはフェルミ準位をはさんでkBT程度のエネルギー幅の中にあるものだけであるので,エントロピーはTに比例し,その結果比熱もTに比例する(kBはボルツマン定数)。詳しい計算をすると,Tに比例する項の係数γは,となる。D(EF)はフェルミ準位での単位体積当りの状態密度で,γTが単位体積当りの比熱である。執筆者:小林 俊一 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by