電気料金制度(読み)でんきりょうきんせいど

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電気料金制度」の意味・わかりやすい解説

電気料金制度
でんきりょうきんせいど

原価主義をもととして,適正報酬および負担の公平原則により計算され,政府認可を受けて電気料金を決める制度。電気事業は公益事業のため,厳密な原価主義を貫いている。電気を生産し,販売するために必要な費用を総括原価というが,この計算は申請後,向う2年間に販売される電気の量と,その期間の必要な営業費用,減価償却,諸税金,事業報酬などによって構成されている。このうち,事業報酬は支払利息や配当金であるが,これは実際にかかった金額ではなく,各電力会社の事業資産が健全な発展をするために必要最小限でしかも適正と思われる報酬率を乗じて算出される。この総括原価をもとにして,個々の需要家の電気の使い方,たとえば,(1) 電気を受ける電圧 (高電圧,低電圧など) ,(2) 電気を使用する時間 (昼間夜間など) ,(3) 電気を使用する場所 (発電所との離隔距離の長短など) などの条件によって,原価負担の原則により,料金は決められる。

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知恵蔵 「電気料金制度」の解説

電気料金制度

自由化の対象とならない需要家向けの電気料金は、電気事業法に基づいて経済産業大臣の認可制(公共料金)になっており、(1)原価主義、(2)公正報酬、(3)需要家間の公平、の3原則からなる総括原価方式と呼ばれる。発電、送電配電にかかる原価を積み上げ、一定の利益(公正報酬)を上乗せして全体の費用を決め、それを個別の需要家ごとに配分して電気料金が決まるため、電力市場低成長時代には設備投資が過剰となる傾向がある。現行料金は、家庭用は3段階、産業用は電圧などの特別料金による逓増(ていぞう)料金制。電力消費量の時間的平準化(負荷平準化)を図るため、家庭用電気温水器対象の深夜電力契約や時間帯別電灯契約、産業用・業務用対象の季節別時間帯別契約もある。自由化対象の顧客が拡大する中、電気料金規制部門との公正な原価配分担保が課題。

(飯田哲也 環境エネルギー政策研究所所長 / 2007年)

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