改訂新版 世界大百科事典 「電波雑音」の意味・わかりやすい解説
電波雑音 (でんぱざつおん)
radio noise
無線通信において,希望する電波に混入して,受信に妨害を与える不規則で,一般的に予測不能の電波のこと。
電波雑音は,その波形に注目して,連続性雑音と衝撃性雑音に分類される。継続時間が長く,時間とともにゆるやかに変化する雑音が連続性雑音であり,これに対して持続時間の短いインパルス状の雑音を衝撃性雑音という。
電波雑音はその発生原因から分類することもある。発生源が自然界に存在するとき,自然雑音と呼び,人工物によるとき人工雑音という。自然雑音には空電雑音,太陽雑音,宇宙雑音などがある。空電雑音は大気中の雷放電によるもので,長波帯から短波帯の周波数領域で強く,この周波数帯の無線通信にとって大きな妨害要因となる。太陽雑音は太陽のコロナからの熱雑音や太陽フレアに伴うバーストであり,長波からミリ波までの広い範囲に及ぶ。宇宙雑音は太陽以外の宇宙に源をもつ雑音で,短波帯にピークがある。人工雑音の代表的なものは,高圧送電線のコロナ放電から生ずるコロナ雑音,自動車のエンジンの点火栓の火花放電による点火栓雑音,蛍光灯内の放電による蛍光灯雑音,電動機その他の電力応用機器から発生するものなど,さまざまなものがある。人工雑音のうち,主として都市部で発生するものを総称して都市雑音ともいう。
執筆者:宮川 洋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報