長波(読み)ちょうは(英語表記)low frequency

  • long wave
  • ちょうは チャウ‥
  • ちょうは〔チヤウ〕

翻訳|low frequency

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

波長1~10km,周波数 30~300kHzの範囲にあり LFと略記する。またキロメートル波ともいう。分類法によっては LF帯と VLF (超長波 ) 帯を含んだ電波とするときもある。伝搬距離が長いので遠距離通信にも利用されるが,短波に比べて空電その他の雑音の妨害を受けやすく,船舶航行用無線や航空機航行用ビーコンなど近距離用として多く使われる。短波のように激しいフェージングがなく,磁気嵐などの影響も少い。
水の粒子の運動が海面から海底に及び,ほぼ水平の往復運動を行う波で,深さに比べて波長が著しく長い。津波は波長が特に著しく長く,太平洋中央部の数千mの大洋底まで水の粒子の運動が及ぶと考えられるので,長波として扱う。

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百科事典マイペディアの解説

波長10〜1km,周波数30〜300kHzの電磁波。キロメートル波とも。おもに地表波で伝わり,近距離の海上移動無線,航行用無線などに使われる。
→関連項目DECCA電波

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大辞林 第三版の解説

慣用的な電波区分で、波長1~10キロメートル(周波数30~300キロヘルツ)の電波。航空通信などに用いる。キロメートル波。 LF 。
波長が水深に比べて十分に長い水波。水の粒子の運動が海底まで伝わる。津波・潮汐ちようせきの波など。 ⇔ 表面波
地球をとりまく、波数四~六、波長5000~6000キロメートルぐらいの大気の波動。偏西風の南北方向への蛇行をもたらす。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

電波を利用上の便宜から波長によって分類したものの一つ。波長の範囲は10キロメートルから1キロメートルまで、周波数の範囲では30キロヘルツから300キロヘルツまでの電波を慣用的に総称していう。電波法施行規則に定められた周波数区分のLF(low frequency)、波長区分のキロメートル波に相当する領域である。
 長波においては1000キロメートル以内の近距離では地表波が優勢であり、周波数が低いほど減衰は少ない。さらに海上伝播(でんぱ)のほうが陸上伝播より減衰が少ないため、初期の海上通信に好んで使用された。地表波が優勢な領域では電界強度は安定しており、昼夜および季節による変化も少ない。伝播距離が非常に長くなると電離層(電離圏)波が現れてくる。電離層波は昼間はD層(60~90キロメートル上空に存在)で、夜間はE層(90~110キロメートル上空に存在)で回折して伝播する。この波長の電波は、あたかも電離層のある高度に金属板の天井が存在するかのように、大地との間を反射しながら伝播するので、ほとんど減衰を受けることなく遠距離に到達する。短波通信が受けるフェージング(異経路伝播波との干渉により受信音がひずみ、不安定になること)のような現象も少なく、1930年ごろの無線通信の初期の段階においてはまことに都合のよい波長帯であった。長波はこの特徴を生かして、大陸間を結ぶ遠距離通信、海岸局と遠洋航海の船舶、地上の航空局と航空機との通信がモールス通信で行われた。これらの通信は2000年代には短波通信へ、衛星通信へ、海底光ケーブルへと引き継がれて、すでに行われていない。その理由は、波長が長いので、送信設備やアンテナが大型になること、周波数が低いために帯域を広げることができず、高速のデータ伝送ができないことによる。
 しかし、長波の安定性を利用して日本では、情報通信研究機構(NICT)がJJYの局名(無線局の呼出し符号)で、1999年(平成11)6月より福島県田村市の「おおたかどや山標準電波送信所」から40キロヘルツで、2001年(平成13)10月より佐賀県佐賀市の「はがね山標準電波送信所」から60キロヘルツで標準電波として50キロワットで送信を開始した。これらの電波は、世界の周波数標準であるとともに、自動較正(こうせい)方式の時計(腕時計を含む)の較正(測定器の補正の値を決定すること)のためにも使用されている。[石島 巖]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 電波のうち波長が一キロメートル以上のもの。周波数で三~三〇〇キロヘルツ、波長が一~一〇キロメートルのものをキロメートル波(LF)、一〇キロメートル以上のものをミリアメートル波(VLF)といい、キロメートル波のみをさす場合もある。
※電気工学ポケットブック(1928)〈電気学会編〉二二「波長に依り長波と短波とに分類されるが」

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世界大百科事典内の長波の言及

【磯波】より

…これに対し,風浪が発達して波形がけわしくなり,不安定になって砕ける状態は白波(しらなみ)という。一般に水面の波は,その波長にくらべて水深が十分大きいところでは水深の影響はなく,波の形は波長に比例した速度で伝播するが,水深が,だいたい波長の1/20~1/25よりも浅くなると,波長には関係なく水深の平方根に比例した速度で進む〈長波〉の性質をもつようになる。波が海岸に近づくにつれて,波長の長いものから順次,長波となり,伝播速度は小さくなり波長が縮まると同時に波高が増す。…

※「長波」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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