改訂新版 世界大百科事典 「露米会社」の意味・わかりやすい解説
露米会社 (ろべいかいしゃ)
Rossiisko-amerikanskaya kompaniya
帝政ロシアの国策会社。北アメリカ(アラスカ)の植民地経営と極東,北太平洋における貿易の発展を目的として設立された。1799年にイルクーツクに本拠をおいて設立されたが,1800年ペテルブルグに本拠を移した。アラスカ,アレウト列島,千島列島における毛皮獣の捕獲や鉱物資源の独占的利用と販売を政府から認められ,その株は皇族や高官たちが所有した。アラスカではノボ・アルハンゲリスク(現,シトカ)に根拠地をかまえ,バラノフやウランゲリといった有能な支配人のもとで,アメリカやイギリスの貿易商に対抗して利益をあげた。1804-40年の間に政府の支援を得て25回にのぼる学術的探検を組織したが,そのなかにはレザノフの長崎来航のときの艦長クルーゼンシテルンによるロシア最初の世界一周航海もあった。従来はこの会社の経営上の行詰りからロシアは67年にアラスカをアメリカ合衆国に売却したといわれてきたが,最近の研究によると,当時の経営状態は上向きで,アラスカ売却はあくまでも安全保障の見地からだったとされる。
執筆者:外川 継男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報