毛皮獣(読み)けがわじゅう

改訂新版 世界大百科事典 「毛皮獣」の意味・わかりやすい解説

毛皮獣 (けがわじゅう)

毛皮(ファーfur)を利用する哺乳類の総称。一般に防寒衣料として毛皮が使われることから,ホッキョクギツネオコジョチンチラなどの寒冷地に生息する断熱性能に優れた毛皮をもつ種が多く含まれるほか,ラッコ,カワウソ,ヌートリア,ビーバー,アザラシなどの防水性能に優れた毛皮(このタイプの毛皮は,防寒性能にも優れる)をもつ,半水生ないし水生の種も含まれる。実用上の価値は別として,美しい斑紋をファッションとして利用し,また,権威の象徴とするために,多くの猛獣,とくにネコ科動物が毛皮獣として利用されてきた。したがって,毛皮獣には,ヒツジ,ウサギなどの家畜から,イタチ科,イヌ科,ネコ科,アライグマ科,リス科,アザラシ科,モグラ科,有袋類(ワラビー,カンガルー),鰭脚ききやく)類(オットセイ,アザラシ),霊長類クロシロコロブス)などの野生動物,1920-30年代から家畜化されるようになったミンク,キツネなどの毛皮用養殖動物など,多様な哺乳類が含まれる。これらのうち,野生動物の毛皮の取引は,絶滅のおそれのある種の商業取引を規制する国際的取決めであるワシントン条約CITES)によって,きびしく制限されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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