朝日日本歴史人物事典 「青岳」の解説
青岳
戦国時代の臨済宗の尼。小弓御所足利義明の娘。天文7(1538)年,下総国(千葉県)国府台の戦で,義明が敵対した古河公方足利晴氏と北条氏綱に敗死したあと出家。鎌倉尼五山の筆頭太平寺の住持となった。妹にやはり,このときに出家したとみられる東慶寺住持の旭山法暘がいる。弘治2(1556)年,安房(千葉県)の里見義弘が三浦半島に上陸して鎌倉に攻め入ったとき,寺から連れ去られ,そのまま還俗して義弘の妻となった。ふたりはもともと許嫁の関係にあったとの説もある。智光院殿とも呼ばれ,その墓塔と伝えられるものが,千葉県安房郡富浦町の興禅寺と同県館山市の泉慶院に現存する。<参考文献>『足利系図』『新編武蔵風土記稿』,川名登『南総の豪族・里見義尭』,三山進『太平寺滅亡―鎌倉尼五山秘話―』
(牛山佳幸)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報