…関東地方のものがもっともよく知られ,また数も多いが,北海道から薩南諸島まで,全国に分布し,地域によって特色のある板碑が造立されている。関東地方のものは,現在までに約3万基が知られ,秩父産の青石(緑泥片岩)で作られ,薄く板状にはがれやすく加工もしやすい,という石材の特色を生かし,頭部を三角形とし,2本の溝状の線を刻み,梵字や画像で主尊の仏を表現するなど,形態的にすぐれ色も美しいものが多く,そのため,江戸時代から文人などに好まれてきた。板碑という名称もこの関東地方の板碑(武蔵型板碑,青石塔婆などともよばれる)にもっともふさわしいもので,東北地方などには,丸い自然石に仏の種子(しゆじ)と銘文が刻まれるだけのものもある。…
…俗に鐘,釣鐘(つりがね)とも呼ぶが,古くからその形状や由縁によって多くの異称がある。おもなものに突鐘(つきがね),洪鐘(こうしよう),撞鐘(どうしよう),鴻鐘(こうしよう),蒲牢(ほろう),鳧鐘(ふしよう),九乳(くにゆう),青石(せいせき),華鯨(かげい),霊鐘(れいしよう)などがあげられる。インドの仏寺で用いた打楽器をさす犍稚(かんち∥けんち)(犍椎(かんつい∥けんつい))も梵鐘の異称となっているが,インドには金属製の鐘がなかった。…
※「青石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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