非遺伝性ポリポーシス

内科学 第10版 「非遺伝性ポリポーシス」の解説

非遺伝性ポリポーシス(消化管ポリポーシス)

(2)非遺伝性ポリポーシス
 遺伝性疾患ではないポリポーシスとしては,以下の3疾患があげられる.
a.Cronkhite-Canada症候群
 胃・大腸を中心とする消化管ポリポーシスに皮膚の色素沈着,爪異常,脱毛を伴う非遺伝性疾患である.ポリープの組織像は,若年性ポリープのそれに似る.またポリープの一部に腺腫腺管を混在するものでは胃癌大腸癌の合併がみられ,悪性化の可能性をもつと考えられている.
b.炎症性ポリポーシス(inflammatory polyposis)
 潰瘍性大腸炎,Crohn病赤痢腸結核などの炎症性疾患に伴ってみられる.粘膜の炎症により生ずるものと考えられており,潰瘍の治癒過程に粘膜が島状に残存したpseudopolyposisとは区別される.原疾患の治療が優先される.
c.過形成性ポリポーシス(hyperplastic polyposis)
 過形成性ポリープが大腸に多発するまれな疾患である.遺伝性は明らかではない.大腸癌発生の危険性を有する.近年,右側結腸の比較的大きな無茎性単発性過形成性ポリープ(sessile serrated adenoma/polyp)からの癌化の経路が報告されており,過形成性ポリポーシスの癌発生との間に共通した癌の組織発生機序の存在が論じられている.[小西文雄]
■文献
Giardiello FM, Brensinger JD, et al: Very high risk of cancer in familia Peutz-Heghers syndrome. Gastroenterology, 119: 1447-1453, 2000.
松本主之,矢嶋律子,他:家族性大腸腺腫症の臨床徴候と遺伝子変位の関係.胃と腸,39: 1099-1112, 2004.
Nishisho I, Nakamura Y: Mutation of chromosome 5q21 genes in FAP and colorectal cancer patients. Science, 253: 665-669, 1991.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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