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赤痢 せきり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

赤痢
せきり

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デジタル大辞泉の解説

しゃく‐り【赤痢】

せきり(赤痢)

せき‐り【赤痢】

急性の消化器系感染症の一。感染症予防法では、病原体によって細性赤(3類感染症)とアメーバ赤痢(5類感染症)に分けられる。飲食物を介して経口感染する。アメーバ赤痢は熱帯・亜熱帯に多く、日本では普通は赤痢菌による細菌性赤痢をさす。2~4日の潜伏期ののち高熱を発し、連続的に便意を催し、主に粘液質の血便が出る。血屎(ちくそ)。血痢。しゃくり。 夏》「おもかげのなほうるはしき―かな/草城

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百科事典マイペディアの解説

赤痢【せきり】

法定伝染病アメーバ赤痢と細菌性赤痢があるが,一般には後者をさす。細菌性赤痢は赤痢菌の経口伝染による急性大腸炎で,近年,著しく減少していたが,現在,海外旅行者が感染し持ちこむ例が増えている。
→関連項目感染症予防法潜伏期伝染病保菌者

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栄養・生化学辞典の解説

赤痢

 シゲラ症ともいう.感染性大腸炎の総称で,赤痢菌[Shigella]属の菌や原虫[Entamoeba histolytica]が原因となる.後者が原因のものはアメーバ赤痢という.細菌性赤痢は,平成10年制定の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」で,二類感染症に分類され,対策が規定されている.

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家庭医学館の解説

せきり【赤痢 Dysentery】

[どんな病気か]
 赤痢とは、血液のまじった赤い下痢(げり)をする病気という意味で、細菌性赤痢(さいきんせいせきり)とアメーバ赤痢とがあります。
 近年、日本では著しく減少しましたが、アジア諸国では多い病気で、海外旅行者がもち帰る輸入感染症として入ってくる危険があり、軽視できません。
 感染症予防法で、細菌性赤痢は2類感染症に、アメーバ赤痢は5類感染症に指定され、人へ感染する恐れがある期間は、入院しての治療が必要です。
●予防
 かかっても免疫(めんえき)はできませんし、予防接種もないので、日常生活での予防がなによりもたいせつです。

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世界大百科事典 第2版の解説

せきり【赤痢 dysentery】

赤痢とは発熱,下腹部痛,粘液・血液を混じた頻回の下痢,しぶりばらtenesmus(裏急後重)を主要症状とする法定伝染病で,主として大腸粘膜の潰瘍性炎症を伴う腸管感染症である。その病原体によって細菌性赤痢とアメーバ赤痢に分類される。
[細菌性赤痢bacillary dysentery]
 病原体である赤痢菌は1897年志賀潔によって発見され,志賀の名にちなんでShigellaという属名がつけられた。赤痢菌は長さ2~4μm,幅0.4~0.7μmのグラム陰性の杆菌で,鞭毛はない。

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大辞林 第三版の解説

せきり【赤痢】

発熱、腹痛、粘液・血液・膿の混じった下痢の頻発を特徴とする感染症。細菌性赤痢とアメーバ赤痢に分けられる。 [季] 夏。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

赤痢
せきり
dysentery

血液を混じた赤い下痢をおこす病気というのが病名の由来で、発熱、粘血便を混じた頻回の下痢、下腹部痛、しぶり腹を主症状とした腸管感染症をいう。感染症予防・医療法(感染症法)により分類されている感染症で、病原体によって細菌性赤痢(3類感染症)とアメーバ赤痢(5類感染症)に分けられる。しかし、アメーバ赤痢は熱帯地方に多くみられ、日本ではまれなため、単に赤痢といえば普通、細菌性赤痢をさす。[柳下徳雄]

細菌性赤痢

病原体は赤痢菌で、患者や保菌者の糞便(ふんべん)中に排出され、これが手指に付着したり、ハエやゴキブリなどに媒介されて飲食物や水に混入し、経口感染する。このとき、たまたま胃腸が弱っていると、2~7日の潜伏期を経て発病する。夏季に比較的多いのは、このためである。近年は学校や会社などで給食するところが多くなり、集団発生をみることがある。
 鑑別を要する疾患にはサルモネラ腸炎、腸炎ビブリオ症、大腸菌性腸炎などの感染性腸炎があり、いずれも血便がみられるので、病原菌の培養検査を行い、赤痢菌を確認する。
 症状は、急に38~39℃の発熱があり、下腹部の痛みとともに下痢が始まる。病初期には悪心(おしん)あるいは嘔吐(おうと)が数回みられることもある。下痢は軽症ならば1日数回程度であるが、重症では30回以上に及ぶこともある。赤痢の下痢の特徴は、最初黄褐色の水のような下痢便が、まもなく粘液や血液を混じ、さらに粘液、血液、膿(のう)の混じたものを少量排出するだけとなり、糞便の部分が全然なくなることも多い。また排便時には、いわゆる「しぶり腹」がみられ、便意はしきりにあるが便所へ行っても出しぶり、少量しか排出されず、排便終了感がなく、すぐまた便所に行きたくなる感じに悩まされる。腹痛はしだいに左下腹部に限局し、その部分を圧迫すると強く痛む。なお、症状の軽重はその人の体の抵抗力と感染した赤痢菌の毒力に関係する。菌の毒力は、菌型によってかなり異なる。近年の赤痢は毒力のもっとも弱いソンネ菌群の感染によるものが80%前後を占め、軽い下痢だけで赤痢と気づかないまま治癒したり、一時的に保菌状態になるだけで発病しなかったりすることも多い。集団発生の場合、定型的な少数の患者の周囲に、このような軽症患者や保菌者が多くみられる。
 治療は化学療法が中心となる。現在使われている薬剤には、カナマイシン、パロモマイシン、アミノベンジルペニシリン、コリスチン、ナリジクス酸などがある。これらの抗生物質にも耐性菌が出現しており、個々の患者から分離した赤痢菌について薬剤の感受性試験を行い、使用薬剤を決めるのが合理的である。試験結果を待たずに使用する場合には、カナマイシンまたはナリジクス酸の単独投与、あるいは併用投与などが行われる。また、腹痛、しぶり腹に対しては左下腹部を温めると軽減する。食事は、下痢の激しいうちは流動食をとる。下痢のために口が渇けば、少量ずつ何回でも水を飲んでよい。
 小児や高齢者でも死亡することはほとんどなくなったが、薬物療法によって一時よくなった症状が再発したり、赤痢菌が糞便中にふたたび検出される頻度が高いので、少なくとも2、3週間の入院治療が必要である。また、一般的な免疫はできないので、感染機会があれば何回でもかかるわけである。
 予防としては、患者を感染症指定医療機関に入院させて治療するとともに、患者のいた所、便所、使用した衣類や物品などを消毒する。赤痢は家族感染率が高いので、家族や飲食をともにした人は保健所で検便を受け、症状を自覚しない軽症患者や保菌者の発見に努める。菌が発見された場合には正しい治療を受けることがたいせつで、やたらに抗生物質を使用して不完全な治療をすると、保菌者となって薬剤耐性菌をばらまくおそれがある。[柳下徳雄]

赤痢菌

1898年(明治31)に志賀潔(きよし)によって発見され、志賀菌とよばれた。両端が丸く、長さ2~4マイクロメートル、幅0.4~0.7マイクロメートルのグラム陰性の桿(かん)菌で、鞭毛(べんもう)がなく非運動性である。胞子はつくらない。形態学的には大腸菌と区別しにくいが、生物学的には乳糖を分解する能力がなく、ブドウ糖は分解するが酸だけ生じてガスを産生しないことによって区別される。なお、赤痢菌は、志賀菌発見後にも異なる菌の発見が続き、種類が多くいろいろな分類法があるが、国際分類法では抗原構造の差によって免疫血清学的に4群に大別し、30余の菌型に細分されている。すなわち、ジゼンテリ菌群Shigella dysenteriae(10菌型に細分され、志賀菌は1型)、フレキシネル菌群Shigella flexneri(8菌型)、ボイド菌群Shigella boydii(15菌型)、ソンネ菌群Shigella sonneiの4群で、そのうちジゼンテリ菌群は病原性や毒力がもっとも強く、フレキシネル菌群がこれに次ぎ、ソンネ菌群の毒力はもっとも弱く、症状も軽いことが多い。また、糞便から赤痢菌を検索するときは、SS培地やBTB培地などの特殊培地が用いられる。[柳下徳雄]

アメーバ赤痢

赤痢アメーバEntamoeba histolyticaの感染によっておこる赤痢の一種であり、赤痢アメーバによる腸管感染症(アメーバ症)の代表的病態の一つでもある。
 発病は緩やかで、発熱や頭痛などはなく、泥状より膿粘血便にわたる1日数回の下痢を主症状とし、腹痛、しぶり腹などの症状も比較的軽い。慢性に経過し、治癒したようにみえても、過食や気候の変化などによって再発を繰り返す傾向がある。また、健康胞嚢(ほうのう)排出者といい、軟便または水様便をときどき排出する以外は病感がまったくないこともある。近年は輸入熱帯病として注目されつつある。治療には、メトロニダゾールを第一選択薬剤として用いる。エメチンは心臓に対する副作用があるため、あまり用いられなくなった。[柳下徳雄]

疫痢

おもに2~6歳の幼児が赤痢菌に感染したときにみられる特殊な病型をいい、劇症赤痢ともよばれる。小児が赤痢菌に感染した場合には、発熱、腹痛、下痢、粘血便など成人と同様な赤痢症状を現す場合もあるが、ときには赤痢症状の発現に先だって顔面蒼白(そうはく)や脈拍微弱などの血液循環障害、ひきつけ、嗜眠(しみん)、意識混濁などの神経系障害が現れ、一見、赤痢とは異なる病気のような観を呈することがある。このような場合を、とくに疫痢とよんでいる。1950年(昭和25)には約9000人という死亡者を出して恐れられたが、近年は赤痢患者の減少と軽症化に伴い、疫痢は激減してほとんどみられなくなっている。[柳下徳雄]

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