須弥山説(読み)しゅみせんせつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「須弥山説」の意味・わかりやすい解説

須弥山説
しゅみせんせつ

古代インドジャイナ教において発生した宇宙論サンスクリット語でメールないしスメールといわれ、仏教とともに中国を経由し、日本には空海によってもたらされた。中央に須弥山ヒマラヤにあたる)があり、その周りに日月諸惑星が巡る、というインドの地勢に起源する天動地平説である。須弥山とその周りの七金山および最外側の鉄囲山(てっちせん)とをあわせて九山といい、その各山の間に海を挟んで、九山八海の宇宙を構成する。日本では19世紀にヨーロッパの宇宙論の伝播(でんぱ)に抗して、僧円通を中心として須弥山説に拠(よ)って仏教の宇宙観を普及しようとする梵暦運動がおきた。なお、漢訳経典では意訳して妙高山(みょうこうせん)、妙光山などとよぶ。

中山 茂]

『岩田慶治監修『アジアのコスモス マンダラ』(1982・講談社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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