鉄囲山(読み)テッチセン

精選版 日本国語大辞典 「鉄囲山」の意味・読み・例文・類語

てっち‐せん【鉄囲山】

  1. ( 「てついせん(鉄囲山)」の変化した語。[梵語] Cakravāḍaparvata の訳語 ) 仏語。須彌山(しゅみせん)を囲む九山八海(くせんはっかい)の一つで最も外側の、鉄でできた山。一説に、この外にさらに大鉄囲山があり、先の山との間に八大地獄があるといい、また三千世界おのおのを囲む山であるともいう。てちいせん。
    1. [初出の実例]「乃至鉄囲山、其下枯骨、共成仏道」(出典菅家文草(900頃)一二・為式部大輔藤原朝臣室家命婦逆修功徳願文)
    2. 「設(たとひ)五天のつわものをあつめて、鉄囲山を城とせりともかなふべからず」(出典:日蓮遺文‐撰時抄(1275))
    3. [その他の文献]〔法苑珠林‐二〕

てつい‐せんテツヰ‥【鉄囲山】

  1. てっちせん(鉄囲山)
    1. [初出の実例]「須彌の四州のめぐりに九山八海あり。其総めぐりを鉄囲(ヰ)山にて持なり」(出典:随筆戴恩記(1644頃)下)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鉄囲山」の意味・わかりやすい解説

鉄囲山
てっちせん

仏教の世界説にある鉄製の架空の山。世界の中心に須弥山 (しゅみせん) を取巻く4州があって,そのまわりを9山8海が囲み,そのまた外側にあるとされる。

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世界大百科事典(旧版)内の鉄囲山の言及

【須弥山】より

…この大陸の地下に地獄,餓鬼の世界がある。四洲の外,金輪の外周をふちどる形で鉄囲山(てつちせん)Cakravāḍa‐parvataがめぐる。須弥山を中心とし,その中腹を高さとして,ちょうど四洲の上を通過するように日月星辰が転回している。…

※「鉄囲山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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