改訂新版 世界大百科事典 「願ほどき」の意味・わかりやすい解説
願ほどき (がんほどき)
神仏への立願を解くこと。葬儀に伴うものと,病気平癒の場合に行うものとがある。死者が生前に願を掛けていた場合は,この世に思いを残さずに成仏できるように出棺の際にさまざまな呪法が行われる。これは願戻しとも呼ばれ,扇のかなめをはずして屋根に投げたり,生前の着物を逆さに振ったり,あるいは茶碗を割ったり,米や豆などをまいたりする。これらの呪法はいずれも死霊がこの世に戻って来れないように,死霊を除去したりこの世と絶縁させるものである。一方,願掛けして病気が平癒した際などには,願果しともいって各種の奉納や礼参りがなされる。共同で祈願してもらった場合には,酒肴を出して解願の祝宴を行う。また神仏の効験を記した吹聴書を人目につく所につるすこともある。厄除けの願掛けをした場合には,厄年の者が神社の祭日に参籠して精進潔斎して祭りの神役をつとめることもある。これは厄年は神役をつとめる年だという信仰にもとづいた風習とされている。
執筆者:飯島 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報