六訂版 家庭医学大全科 「類宦官症」の解説
類宦官症
るいかんがんしょう
Eunuchoidism
(男性生殖器の病気)
どんな病気か
原因は何か
脳の
原発性ではX染色体の過剰によるクラインフェルター症候群があり、続発性も大部分は先天的な遺伝子の異常と考えられていますが、まだ原因遺伝子が特定されていません。そのなかで、とくに嗅覚の異常を伴うカルマン症候群は、X染色体上のKAL1遺伝子に異常があることがわかっています。
検査と診断
声変わりしない、陰毛やひげが生えてこない、陰茎や精巣が小さいなどの二次性徴発現の異常のほか、
血液中のゴナドトロピン(LH、FSH)、男性ホルモン(テストステロン)を測定し、ゴナドトロピン値が低くテストステロン値も低い場合は続発性が、ゴナドトロピン値が高くテストステロン値が低い場合は原発性が疑われます。クラインフェルター症候群では、血液中の白血球を用いた染色体検査でX染色体の過剰が認められます。
二次性徴の発現時期は個人差が著しく、続発性の場合はいわゆる
腫瘍性の病変も考えられる場合には、脳のMRIなどの検査を行うこともあります。
治療の方法
二次性徴の発現を目的とする治療では、ゴナドトロピンの産生が低下している続発性性腺機能低下症の場合は、LH作用をもつhCG(ゴナトロピン)の週1~2回の筋肉注射、またはテストステロン(エナルモンデポー)による治療(3~4週ごと)を6カ月から1年行います。
原発性性腺機能低下症の場合にはhCGは無効で、テストステロン(エナルモンデポー)による補充を行います。
妊娠を目的とする場合には、hCGのほかにhMG(ヒュメゴン)を併用することもあります。
武田 光正
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報