風車小屋だより(読み)ふうしゃごやだより(その他表記)Lettres de mon moulin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「風車小屋だより」の意味・わかりやすい解説

風車小屋だより
ふうしゃごやだより
Lettres de mon moulin

フランスの作家アルフォンス・ドーデの短編集。1866~69年に主として『エベヌマン』紙、『フィガロ』紙に発表したコントを集めて、69年に単行本として出版、そののち6編が追加され、79年の決定版では25編。題名の「風車小屋」とは、パリ在住のドーデが、南仏プロバンス地方、アルル近傍に買い求めた小屋。そこで見聞した農民、羊飼いたちの話をパリの友人に送る書簡体の趣向をとる。なかでもよく知られるのは、『スガンさんの山羊(やぎ)』『コルニーユ親方の秘密』『二軒の宿屋』、オペラ脚本の原作にもなった『アルルの女』などである。プロバンス地方の明るい風土を背景に、もの悲しい挿話が諧謔(かいぎゃく)的文体に包まれ、そこはかとない詩情を醸し出している。

宮原 信]

『『風車小屋だより』(桜田佐訳・岩波文庫/村上菊一郎訳・新潮文庫/大西克和訳・角川文庫)』

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世界大百科事典(旧版)内の風車小屋だよりの言及

【ドーデ】より

…詩集《恋する女たち》(1858)がきっかけで,モルニー伯爵の秘書の職を得た。1866年,26歳で発表した《風車小屋だより》によって一躍有名になった。南仏プロバンス地方を舞台にした25の短編から成る作品集で,日本でも親しまれている〈スガンさんの山羊〉や,戯曲化され,ビゼーの作曲で有名な〈アルルの女〉などが含まれている。…

※「風車小屋だより」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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