アルルの女(読み)あるるのおんな(英語表記)L'Arlésienne

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルルの女」の意味・わかりやすい解説

アルルの女
あるるのおんな
L'Arlésienne

フランスの作家アルフォンス・ドーデ戯曲。3幕5場。『風車小屋だより』(1869)のなかの同名の短編骨子として書いたもの。1872年パリのボードビル座でビゼーの音楽を付して上演。初演当時はむしろ音楽が好評で、のちにビゼーはそこから管弦楽組曲をつくっている。祖父と母の溺愛(できあい)のなかに育った南フランスの農家の青年フレデリ(短編ではジャン)は、近くの町アルルに住む奔放な女性を愛する。しかし2人が結ばれそうになったとき彼は、女にはすでに何人もの情人がいることを知らされる。彼を慕う幼なじみのビベットや母の努力にもかかわらず、いったんはその気になったビベットとの婚約式の終わった深夜、フレデリは自宅の2階から身を投げて死んでしまう。フレデリの悲恋を中心に、夫の死後息子だけを生きがいとする女性、昔の恋をいまなお忘れぬ老羊飼い、フレデリの不気味な弟たちが登場する地方色豊かな戯曲である。

宮原 信]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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