国指定史跡ガイド 「飛騨国分寺塔跡」の解説
ひだこくぶんじとうあと【飛騨国分寺塔跡】
岐阜県高山市総和町にある寺院跡。聖武天皇の詔勅によって全国に造られた国分寺の一つで、746年(天平18)に創建され、行基(ぎょうき)が開基した。境内には室町時代に建立された国の重要文化財の本堂があり、その東側に玉垣で囲われた塔心礎石があって、創建当時の七重塔のものと推定される。礎石の形状はほぼ方形で、上面に円柱座があり、その中央部に円形の穴が開いている。礎石は径約2m四方で地上高は約1m、円柱座の径は133cm、高さ1cm、円穴径58cm、深さ29cmのほぞ穴式心礎で、石質は地元で松倉石と呼ばれる流紋岩である。寺域や周辺からは布目瓦や単弁八葉の蓮華文を配して外区に珠文帯をめぐらせた軒丸(のきまる)瓦、左右対称の唐草文様を配した軒平瓦が出土している。1929年(昭和4)に国の史跡に指定された。安土桃山時代に建造された鐘楼門は高山城から移築されたもので、ほかに天然記念物に指定されている樹齢1200年の大イチョウや飛騨地方唯一の三重塔がある。創建当時の塔が819年(弘仁10)に炎上して以来、数回にわたって再建され、江戸時代の1821年(文政4)に建立されたのが現在の三重塔である。JR高山本線高山駅から徒歩約5分。