食糧生産革命(読み)しょくりょうせいさんかくめい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「食糧生産革命」の意味・わかりやすい解説

食糧生産革命
しょくりょうせいさんかくめい

人類食糧経済が略奪経済 (食糧採集経済) から定着農耕生産 (食糧生産経済) へと移行したことをいう。旧石器時代には,人類は野生動植物狩猟,採集,漁労などに依存していたが,新石器時代牧畜や農耕を開始した。採集狩猟経済では人口1人あたり 10~50km2の土地が必要とされたが,遊牧民は1人あたり 0.6~1km2,焼畑農耕では 1km2あたり 10~30人の人間が生活できる。こうして従来不安定であった食糧供給が安定し,人口の飛躍的増加とともに定着性が高まった。同時にこの段階で重要なことは,食糧の貯蔵,すなわち富の蓄積が可能となり,経済的基盤の変化により社会成層が固定化してくることである。

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世界大百科事典(旧版)内の食糧生産革命の言及

【採集狩猟文化】より

…現生人類はおよそ3万5000年前に出現したのであるが,農耕と牧畜という生計様式が芽生えたのはたかだか1万年前のことであり,農耕民と牧畜民が人類の多数派となるのはさらにのちのことである。新石器革命または食糧生産革命と呼ばれるこの画期的なできごとによって,人口は加速度的に増加し,農耕・牧畜文化を基盤とする社会は急速に拡大していった。採集狩猟社会は,農耕文化牧畜文化の影響を受けてみずから変容し,吸収され,急激に減少した。…

※「食糧生産革命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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