出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…《正倉院文書》によると,奈良時代には取分け用のものと個人用のスプーンとの2種が用いられており,後者はのちに食卓から姿を消して薬剤用などの〈さじ(匙)〉になり,取分け用のもののみがのこって,しゃくしになっていく。ただし,〈かい〉が本来は汁用であったためであろう,飯用のものはその後〈飯匙(いいがい)〉と呼ばれていた。現在〈しゃくし〉の語が飯しゃくしとしてより,汁しゃくしとして使われる方が多いといわれるゆえんである。…
…液体や粉体をすくうボウルの部分に柄のついた食卓用具。日本語の〈さじ〉にあたる。英語spoonの語源は木片のこと。フランス語ではcuillèreといい,巻貝を食べるときの道具に由来する。古くから木,貝,素焼き,石,角,象牙,青銅,銀などでスプーンがつくられ,古代エジプトでは化粧材料の混合や調理用に使われていた。ギリシア・ローマ時代にも調理用や給仕用のものが各種使われたが,当時の貴族の宴会では,寝椅子に横たわり,料理は指でつまむか,汁気の多い料理は,食器から直接口にしたり,パンを浸して食べたので,個人用のスプーンは必要としなかった。…
※「飯匙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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